「偽装フリーランス」が常態化する宅配業界 労働者の「無権利状態」を防ぐ立法を

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1: 蚤の市 ★ 2023/11/24(金) 06:45:42.88 ID:sx/GWLR69.net
<配達の現場から どう守る 仕事 暮らし>(下)

「働き下方は社員と同じなのにフリーランスと扱われて労働基準法などで守ってもらえない。軽貨物などの業界で、この『偽装フリーランス』が多く見られる」

フリーランス保護新法を審議した今年4月の参院内閣委員会で、委員たちから聞き慣れない造語が飛び交った。この「偽装」問題への懸念から、成立した新法には「偽装フリーランスの保護のため、労働基準監督署等が適切に確認する」との付帯決議が付された。
◆時代にそぐわなくなっている40年前の基準
「宅配業界では、偽装が常態化している」と訴えるのは、アマゾンや日本郵便の配送をフリーランスで請け負ってきた神奈川県の50代男性だ。「荷物の時間指定があり、間に合わなければ他の配達員が代わりに運ぶなど、常に指揮命令がある」と実態を明かす。
国土交通省によると、宅配事業者による宅配便の取扱個数は昨年が50億個と10年間で4割以上増加。自社商品の配送に特化し統計に含まれないアマゾンなどを含めると伸びはさらに大きい。雇用された運転手の残業時間に罰則付きの上限を課す「2024年問題」が来年4月に迫る中、上限規制の対象外の偽装フリーランスらに大きな負荷がかかる恐れがある。男性は「偽装をやめ、雇用契約するべきだ」と求める。
龍谷大の脇田滋名誉教授(労働法)は、偽装フリーランスを「究極の非正規雇用」だとし、「労働者性を狭く捉える判断基準に問題がある」と背景を指摘する。残業の上限規制などで保護されるには「労働基準法上の労働者」とみなされる必要があるが、指揮監督や時間・場所の拘束性の有無などで厳しく判断される「狭き門」になっている。
基準ができたのは40年近く前で、脇田氏は「内勤の従業員を想定したあまりに限定的な基準」と述べ、雇用に伴う企業の負担を減らす口実に利用されたと批判。「経済的な自立性が弱い働き手は『労働者』と広く捉えて保護できるよう見直すべきだ」と強調する。
◆働き方も多様化、「雇用とフリー」の二分論では
もっとも近年は、食事宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達など、インターネット上で単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」も増加。自由な働き方を重視して雇用契約を望まない人もいる。安全網の弱さは共通しているとはいえ、多様な働き方をひとくくりにして法的保護の枠組みを定める難しさはある。

フリーランスを支援する川上資人(よしひと)弁護士は、労災や最低賃金などの適用をフリーランスの一部にも広げる欧米や韓国と異なり、日本の労働法制は「雇用とフリーランスの二分論に陥っている」と問題視する。
例えば、政府は建設業の一人親方などが対象になっている労災の「特別加入制度」について、全業種への拡大を検討中だが、労働者であれば企業が支払うはずの保険料は自己負担だ。労働者同様の保護を、フリーランスにも広げる動きには至っていない。
川上氏は「政府が検討ばかり続ける間に、無権利状態の労働者が増えている。体一つで働き生活する人が等しく社会保障を受けられるよう、具体的な立法を進めるべきだ」と訴える。
配達という誰もが身近に利用するインフラ。その担い手が「フリーランス」の名の下、「無権利状態」とされていないか、政府だけでなく生活者にも問いが突きつけられている。
フリーランスをめぐる政府の対応 フリーランスをめぐる政府の対応 フリーランスとして働く人は2020年の政府推計で約462万人いて、同年に「トラブル110番」を設置した。21年には働きやすい環境を整備するためのガイドラインを作成、契約の形式や名称にかかわらず働き方の実態で労働者性が認められれば、労働基準法などの保護を受けられると記した。今年4月成立のフリーランス保護新法は発注者に対し、業務内容や報酬額の書面での明示、継続的な業務委託を中途解除する場合の事前予告などをするよう義務付けた。

東京新聞 2023年11月24日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/291864
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