1: 煮卵 ★ 2024/01/03(水) 02:03:32.52 ID:oQZKUJPJ9.net
(前略)
◼氷河期世代を救うには
どうやって目の前の氷河期世代を救えばいいのか。これまでの取材を振り返ると、東京都の「東京しごと塾」に希望が見える。
東京しごと塾とは、政府が氷河期世代支援に乗り出す4年前の2015年度から、東京都が独自に行っている就職支援事業で、30~54歳の非正規社員を対象に行われる。事業の管理は東京しごと財団が行っている。
実際の企画運営は東京しごと財団から人材ビジネス会社大手のパソナとパーソルテンプスタッフに委託されている。
腰を据えて訓練できるよう受講期間は2ヵ月間とされ、1期当たり原則として20人程度の少人数制で実施される。日々の生活に困らないよう、都から日額5000円の就活支援金が支給され、受講後3ヵ月の就職支援と定着支援が行われる。
ビジネスマナー、応募書類の作成、面接の練習などを行ったうえでグループを組み、東京しごと塾があらかじめ協力要請した企業にアポイントをとって訪問していく。会社の特徴などをヒアリングして、訪問企業をどうPRするか企画会議を重ね、最終日は企業の担当者を招いてプレゼンテーションを行う。グループワークを通して塾という“仮想職場”で“働く”体験をする。
支援のカギとなるのは、手厚いキャリアカウンセリングだ。ジョブトレーナー1人が受講生5人を担当し、その人が得意なことを見つける。
受講生は「失敗した」「何をしたいのか分からない」などそれぞれに後ろ向きになっている。
ジョブトレーナーは受講生が失った自信を取り戻し、一歩踏み出せるよう自己肯定感を引き上げていく。就職活動でマイナスイメージがつきがちな非正規雇用や無業の期間の長さをポジティブに捉えられるようにするのが、ジョブトレーナーの役割となる。
◼「何とか正社員になりたい」
東京しごと塾の初年度2015年度の受講生は205人、86人が就職したうち、正社員が45人だった。直近ではコロナの影響を受けつつも採用状況は堅調で、2021年度の受講生は117人、90人が就職して55人が正社員になって卒業した。
ある男性は都内の有名大学を卒業後、1年だけ正社員で働いた。メンタルヘルスを崩して辞めて以降、サービス業で契約社員やアルバイトの職を転々としていたが、小売業への正社員入社が決まった。
また、20代の頃に正社員で働いた経験が3ヵ月だけという男性は、16年間も無業状態だったが、ジョブトレーナーと一緒に「自己紹介書」を作り、面接の練習を繰り返すうち、就職活動に前向きになり状況が好転。初歩的なITスキルでも可能なシステム保守職で採用された。
「もうすぐ40歳。それまでに何とか正社員になりたい」と年齢を強く意識した男性は一歩踏み出し、東京しごと塾に訪れた。チームを組んでコミュニケーションを図ることで働く意識が高まった。自分と似た境遇の仲間と知り合えたことで気持ちが救われ、過去を振り返って、自分に足りないものを学んでいくことができたという。
◼まだ諦めなくても良い
東京都は現在、コロナ関連の就労支援対策も実施しており、2021年度から2年間で5000人を支援する。求職者は、正社員を採用したい企業でまず派遣社員として最大2ヵ月、最大3社までで働き、企業風土や適性を見極めることができる。派遣期間中の費用は都が負担し、採用後に職場定着を図る企業には助成金制度を用意している。
個人の力ではどうしようもない不景気と規制緩和の波に呑まれた就職氷河期世代には、メンタルのケアも必要だ。そうしたサポートと、社員を育てようという意識のある中小企業とのマッチングを図ることができれば、まだ諦めなくても良いのではないか。
小林 美希(ジャーナリスト)
[現代ビジネス]
2023年1月2日(火) 6:47
https://news.yahoo.co.jp/articles/15483740a250388efa8228e993352088ea748b47
続きを読む
◼氷河期世代を救うには
どうやって目の前の氷河期世代を救えばいいのか。これまでの取材を振り返ると、東京都の「東京しごと塾」に希望が見える。
東京しごと塾とは、政府が氷河期世代支援に乗り出す4年前の2015年度から、東京都が独自に行っている就職支援事業で、30~54歳の非正規社員を対象に行われる。事業の管理は東京しごと財団が行っている。
実際の企画運営は東京しごと財団から人材ビジネス会社大手のパソナとパーソルテンプスタッフに委託されている。
腰を据えて訓練できるよう受講期間は2ヵ月間とされ、1期当たり原則として20人程度の少人数制で実施される。日々の生活に困らないよう、都から日額5000円の就活支援金が支給され、受講後3ヵ月の就職支援と定着支援が行われる。
ビジネスマナー、応募書類の作成、面接の練習などを行ったうえでグループを組み、東京しごと塾があらかじめ協力要請した企業にアポイントをとって訪問していく。会社の特徴などをヒアリングして、訪問企業をどうPRするか企画会議を重ね、最終日は企業の担当者を招いてプレゼンテーションを行う。グループワークを通して塾という“仮想職場”で“働く”体験をする。
支援のカギとなるのは、手厚いキャリアカウンセリングだ。ジョブトレーナー1人が受講生5人を担当し、その人が得意なことを見つける。
受講生は「失敗した」「何をしたいのか分からない」などそれぞれに後ろ向きになっている。
ジョブトレーナーは受講生が失った自信を取り戻し、一歩踏み出せるよう自己肯定感を引き上げていく。就職活動でマイナスイメージがつきがちな非正規雇用や無業の期間の長さをポジティブに捉えられるようにするのが、ジョブトレーナーの役割となる。
◼「何とか正社員になりたい」
東京しごと塾の初年度2015年度の受講生は205人、86人が就職したうち、正社員が45人だった。直近ではコロナの影響を受けつつも採用状況は堅調で、2021年度の受講生は117人、90人が就職して55人が正社員になって卒業した。
ある男性は都内の有名大学を卒業後、1年だけ正社員で働いた。メンタルヘルスを崩して辞めて以降、サービス業で契約社員やアルバイトの職を転々としていたが、小売業への正社員入社が決まった。
また、20代の頃に正社員で働いた経験が3ヵ月だけという男性は、16年間も無業状態だったが、ジョブトレーナーと一緒に「自己紹介書」を作り、面接の練習を繰り返すうち、就職活動に前向きになり状況が好転。初歩的なITスキルでも可能なシステム保守職で採用された。
「もうすぐ40歳。それまでに何とか正社員になりたい」と年齢を強く意識した男性は一歩踏み出し、東京しごと塾に訪れた。チームを組んでコミュニケーションを図ることで働く意識が高まった。自分と似た境遇の仲間と知り合えたことで気持ちが救われ、過去を振り返って、自分に足りないものを学んでいくことができたという。
◼まだ諦めなくても良い
東京都は現在、コロナ関連の就労支援対策も実施しており、2021年度から2年間で5000人を支援する。求職者は、正社員を採用したい企業でまず派遣社員として最大2ヵ月、最大3社までで働き、企業風土や適性を見極めることができる。派遣期間中の費用は都が負担し、採用後に職場定着を図る企業には助成金制度を用意している。
個人の力ではどうしようもない不景気と規制緩和の波に呑まれた就職氷河期世代には、メンタルのケアも必要だ。そうしたサポートと、社員を育てようという意識のある中小企業とのマッチングを図ることができれば、まだ諦めなくても良いのではないか。
小林 美希(ジャーナリスト)
[現代ビジネス]
2023年1月2日(火) 6:47
https://news.yahoo.co.jp/articles/15483740a250388efa8228e993352088ea748b47